「ものづくり白書2016」 おさえておくべき製造業の7つのトレンド

文部科学省と経済産業省、厚生労働省の3省合同で作成される「ものづくり白書」2016年の内容は?(出典:経済産業省ウェブサイト)

「ものづくり白書」とは、日本の基幹産業の1つである製造業について、日本政府が講じる施策に関する報告書で、文部科学省と経済産業省、厚生労働省の3省合同で作成されます。
2016年度版の内容は?要点をまとめましたので、チェックしてください。

ものを作るだけではダメな時代、と強調

【1】新興国の安価な製品が増える中、単に「もの」を作るだけ、もしくは「高機能化」では生き残れない時代に入った。
グローバル企業は、付加価値を「もの」そのものから、「サービス」「ソリューション」の拡充へ移行し、ビジネスモデルの変革にしのぎを削る中、我が国企業の取組は十分とはいえない。

【2】IoT等の技術の活用度合いは活用分野によって大きな違いがあり、「生産」部門等に比べ「運用・保守」の部門(予知保全等)への活用は進んでいない。

【3】企業規模に関わらず、IoTを積極的に活用している企業ほど、経営のスピードが速く、製品開発のリードタイムが短くなっている。
従業員100人以下の中小企業においても積極的にIoTの活用を行っている企業がいる。

【4】「再生医療」は規制緩和、「航空機」は需要の拡大によって市場の裾野が急拡大しており、周辺業種からの新規参入企業の増加が見られる。

【5】課題(労働力不足、多品種少量生産に伴う物流コスト増など)を克服するための投資の動きがあり、拡大が期待される。
労働力不足にはロボット導入による省人化投資、物流コスト増へは物流・サプライチェーン効率化が注目されている。

【6】今後強化を図る経営変革は(1)新規事業分野の開拓(2)部門等をまたぐ人材流動性(3)異業種との業務連携の順に多い。他に「グローバル化」「国籍を問わない高度人材」「オープンイノベーションの推進」「ベンチャー企業との連携」など。

【7】人口減少下において、労働生産性の向上が不可欠な中、IT関連の人材育成やベンチャー企業との連携、女性の活躍促進が必要。