「ものづくり白書2017」 製造業が直面する大きな2つの課題とは!?

文部科学省と経済産業省、厚生労働省の3省合同で作成される「ものづくり白書」2017年の内容は?(出典:経済産業省ウェブサイト)

「ものづくり白書」とは、日本の基幹産業の1つである製造業について、日本政府が講じる施策に関する報告書で、文部科学省と経済産業省、厚生労働省の3省合同で作成されます。
2017年度版の内容は?要点をまとめましたので、チェックしてください。

1.日本の製造業の現状

  • 製造業の99%を占める中小企業は、事業所数、従業者数ともに減少傾向。今後、日本の生産年齢人口の大幅な減少が見込まれる中で、特に技術・技能人材において、人材確保に一層の厳しさを増すことが考えられる。

  • IoTをはじめとする第4次産業革命に関連し、現場のデータ収集・活用、デジタルツールの利活用の重要性への意識の高まりが見られる一方、具体的用途への活用が課題。

  • 製造業の変革の方向性として、ものづくり企業が新たな価値獲得を行うべく、単なるモノづくりにとどまらないサービス・ソリューション展開を目指す。

  • 海外生産を行っている企業のうち、約12%(過去2年の調査とほぼ同じ)が過去1年間で国内に生産を戻しており、国内回帰の動きが一定程度継続して見られる。うち66%が中国・香港からの回帰。戻した理由は為替レート、人件費、品質管理上の問題等。

  • 2.日本の製造業が直面する2つの課題とは?

    【1】強みの維持:人材不足の課題が顕在化しつつある中、強い現場力の維持・向上

    人材確保は「現場力」の維持・強化を図る上での最も大きな課題。
    現在は、定年延長等によるベテラン人材の活用の取組が中心であるが、今後は、ITやロボット等を活用した合理化・省力化に取組の重点が移ることが見込まれる。

    【2】弱みの克服:新しい付加価値の創出、最大化

    経産省が昨年12月に実施した調査では、2/3の企業が製造現場で何らかデータを収集している。(大企業88%、中小企業66%)

    しかし、データの利活用を主導する部門は、53%が経営層ではなく、現場サイド主導でのデータ収集・活用である。
    経済のデジタル化が進展する中、付加価値向上に向けた経営上の重要なツールであるデータ収集やIoTの利活用が、「経営戦略的観点」から行われていない可能性がある。
    データ取得が現場主導のボトムアップアプローチの場合、生産現場の合理化等の生産性向上には活用されるが、ビジネスモデル変革等による新たな付加価値の創出につながらない懸念がある。

    ――――以上の2点の課題を挙げ、IoTといったデジタルツール、ロボット等の積極的な活用が重要だと主張した。
    IoTの活用では、具体的にどう使うかが課題となる。

    白書では産業分野ごとに先進的な取り組みを行っている企業の事例も紹介されていますので、ご参考にしてください。

    mono2017
    * 経済産業省HPより出展